【おすすめ画材】大好きな色鉛筆③(油性色鉛筆レビュー)
こんにちは、瑞木です。
今回はおすすめの油性色鉛筆について紹介していきます。
前回記事▼
私は色鉛筆の中でも油性色鉛筆を愛用しています。
理由は前回記事にも書いたとおり「油性でなおかつ芯が柔らかく、重ね塗りや混色がしやすいもの」から選んだ結果、アーチスト色鉛筆が最も自分に合っていると感じているからです。
ですがそれ以外にも複数メーカーの色鉛筆を集めて、それぞれの違った特徴を生かし、用途によって使い分けするのを楽しんでいます。
ではまずは、私がメインで使っているアーチスト色鉛筆から書いていきます。
ホルベイン アーチスト色鉛筆
製品ページ ▼(カラーチャートなどが見られます)
アーチストは、日本のホルベイン製の色鉛筆です。
芯はどちらかといえば柔らかめですが、他のメーカー品と比べると硬すぎず・柔らかすぎずちょうど良い感じで、さらさらとした塗り心地がします。
後述のペリシアや、プリズマカラーなど超軟質なものと比べると「やや柔らかめ」ですが、それでも硬いとは感じません。
柔らかすぎないので、芯を尖らせて削って線描や細かいところを塗ったりすることもできますし、芯先が丸い状態で描けば筆圧をかけても折れにくく、濃く塗り重ねることも容易です。
私が使うときは、カッターで先が尖りすぎないように削って面塗りがしやすいようにしています。線描はもう少し硬い芯のポリクロモスを併用することが多いです。
全150色あり、私はバラ買い→36色セット→バラ買いで50色ほど持っていて、どの色もまんべんなく使える印象です。
よく使っていて何度か再購入している色は、混色に多用する白やパステルカラーの312(Horizon Blue)・323(Aqua)、私の好きな濃いめの色の368(Prussian Blue)・365(Naby Blue)、044(Scarlet)、042(Carmine)。
とにかく濃い色を濃く塗るのが幸せなので、よく減っていきます。
明るくはっきりした色の他にも、淡い色やくすんだ色も豊富で、とても綺麗です。
苔のついた樹木や、古い木造建築の木材を思い起こすような189(Olive Green)や187(Olive Drab)は、日本の風景を描く時におすすめしたい、渋くも美しい色です。
濃く塗ったときと薄く塗ったときでは、色の印象も変わって面白いです。
持っているものを並べると、こんな感じ▼
有彩色は36色セットに入っているものの他に、緑や青系の中間色を多めに揃えています。こうして改めて見ると寒色系が多いですね。
自然風景の色が好きというのもありますが、単に私が青緑好きなのです。
無彩色のグレー系は寒色系(Cool Gray#1~6)と暖色系(Warm Gray#1~6)に分かれます。写真では左側が寒色、右側が暖色です。
それぞれ3番と6番を塗ってみました。
こうして見ると完全なモノトーンではなく、うっすらと青み、赤みが入っているのが分かります。明るい方の3番は違いが分かりやすいですね。
グレー系には「色鉛筆のグレーって地味じゃない?使い道そんなになさそう」というイメージを払拭する、落ち着きつつも深みが感じられる色彩が揃っています。
グレー系の濃淡だけで絵を描いてみるのも面白く、例えばWarm系を使うと、セピア調のようなノスタルジックで温かみのある雰囲気になります。
また、通常のホワイト(500)とは別に、ソフトホワイト(501)があります。
他の色とは全く違うクレヨンのような柔らかさを持ち、ペタペタとした塗り心地です。濃く塗り潰した上からでも重ね塗りができ、ハイライトの表現をすることができます。
345の上に塗り重ねて★マークを描いてみました。左側がソフト、右側が通常の白です。
ソフトの方はまさに「上に色が乗っている!」という感じですが、通常の方は、重ねるというより混ざったような状態になります。
水彩絵具で例えると、透明水彩で塗った上から、不透明水彩の白を重ねて光の表現をするような感じです。
逆に下地や混色に使うのに優秀なのは通常の白やパステルカラーで、ソフトだと上から別の色を乗せるのは難しいです。
四角形の左半分にそれぞれ通常白・ソフトを下地に塗ってから449(Magenta)を塗ってみました。右半分はそのまま449だけを塗っています。
左側のソフトの方は、下地が邪魔して上にうまく色が乗らずムラが出ています。
右側の通常白の方は、画像だと違いが分かりづらいですが、上手く色が混ざってほんのり明るい色になっています。上に乗せる色の筆圧を調節すれば、もっと明るいピンクのような色を混色して作ることもできます。
白や淡色は下地や混色、色の明暗の調整に便利です。私は色鉛筆の試し買いをするとき、自分の好きな色と合わせて白鉛筆も買っていました。
次は自分用に作った色見本です。
右下の三角形にもあるように、たくさんの色を集めなくても、色の三原色(赤・青・黄)を組み合わせれば一通りの色を混色して作ることができます。それに黒・白を組み合わせれば、くすんだ色やパステルカラーもできて、十分な表現が可能です。
ですが、色鉛筆は液体の絵の具を混ぜるのとは違って、色同士が完全に均一に混じり合う訳ではありません。
なので、表現によっては既存の色を使ったほうが綺麗に見えることもあるし、逆にあえて違う色同士の組み合わせで色を作ることで、様々な細かい色の粒が密接に並び合って、とても深みのある美しい色合いになることもあります。
そのため始めからセット買いするのではなく、三原色・自分が好きな数色・黒・白をバラで購入し、徐々に足りない色を付け足していくことで、自分らしいセットを作っていくというのもおすすめです。
アーチスト色鉛筆は、芯の柔らかさ、色の種類、鉛筆自体の品質、どれを取ってもバランスが良く使いやすいです。
雰囲気を一言で表すなら「素直」な色鉛筆。
いろんなメーカーのものを併用する場合のメインにもおすすめしたいです。
ファーバーカステル ポリクロモス色鉛筆
製品ページ▼
次はドイツ、ファーバーカステル製のポリクロモス色鉛筆です。
他の軟質な色鉛筆と比較するとやや硬質な描き心地ですが、引っかかりなどは少なく気持ちよく塗れます。
線描はもちろん、細かい部分の描き込みも容易で、繊細な表現が得意です。
芯は硬めでも、塗り重ねていけば均一なベタ塗りができますし、強めに筆圧を掛けて濃く塗り込んでもちゃんと綺麗な仕上がりになります。
また粒子が細かく、カッターで粒状に削って綿棒やティッシュで塗りつけると、広い面をパステルのように綺麗に彩ることができます。
全120色あり、セットもありますが色鉛筆の中では高級な部類になるため、最初私は青・緑系のなかで好きな色だけバラ買いしました。
はじめに買ったのは、110(PHTHALO BLUE)、149(BLUISH TURQUOISE)、153(COBALT TURQUOISE)の三本。
この三本は本当に大好きすぎて、はじめて手にしたときから十年近く経った今でも、未だに手に取ると惚れ惚れしてしまいます。
ポリクロモスは木軸の色や刻印も綺麗で、メーカーロゴや色名のデザインが格好良く、見た目でも高級感がありうっとりします。
色名は英語とドイツ語で書かれており、「この色はドイツ語でなんていうんだろう?」と確認して楽しむこともできます。
この三色の綺麗さに魅了されたのち、12色セットを買い足して、現在は15色になりました。
持っている数が少ないので、色見本はアーチストよりも大きめに塗って楽しんでみました。
ポリクロモスはクロスハッチング(線で徐々に塗り重ねていく塗り方)をすると、とても綺麗な混色ができます。薄く塗り重ねて徐々に濃くしていくような塗り方でも、とても綺麗に仕上がります。
逆にはじめから強めの筆圧で塗って混色するのは、色が浮いてしまったりして均一になりにくく、軟質なアーチストやペリシアと比べると少し難しく感じます。
ポリクロモス色鉛筆は、とにかく色が綺麗で繊細な描写が得意です。
雰囲気を一言で表すなら「上品」な色鉛筆。
芯や木軸に見惚れた後は、塗って楽しんで、色の美しさに幸せを感じられます。
高級色鉛筆に分類されますが、そういう画材は好きな色だけちまちま集めるのも楽しいものです。
三菱ユニ カラードペンシル ペリシア
製品ページ▼
ユニ カラードペンシル ペリシア | ユニシリーズ | 色鉛筆 | 鉛筆・色鉛筆 | 商品情報 | 三菱鉛筆株式会社
ペリシアは鉛筆でも馴染み深い、日本の三菱製の色鉛筆です。
とにかく芯が柔らかく、濃く塗り重ねて油彩のような表現をすることができます。
ベタ塗りや混色がとても得意な色鉛筆です。
色見本を作るときにはじめてペリシアを塗ったとき、その滑らかさに「!!」となりました。
アーチストやポリクロモスと比較すると段違いの柔らかさで、クレヨンのような描き心地。伸び伸びと塗れる気持ちよさは、ペリシアが断トツです。
色によって多少違いは感じますが、あまり力を入れなくても気持ちよく鮮やかに色が広がっていきます。
非常に滑らかに均一に定着し、色が上手く乗らないというストレスがほぼありません。
木軸に「OIL BASED」のマークが付いて強調されていますが、しっかり塗り込むと「まさに油性!」と感じるマットな仕上がりになります。
私は試し買いで白だけ先に購入していました。
アーチストやポリクロモスと併用して混色に使用しましたが、違うメーカー同士でも綺麗に気持ちよく混ざっていきます。
画像はアーチストの365をこれ以上乗らないところまで濃く塗って、上から白鉛筆で重ね塗りしたものです。
上はペリシアの白、下はアーチストの白で、見た目はあんまり違いが分かりづらいくらい、どちらも混色はできています。
ですが塗った感触は、アーチストは結構ぐりぐりと力を入れて混ぜたのに対して、ペリシアはするすると色が混じっていく感じでした。
ペリシアの方が混ぜるのが楽です。
白の使い心地がとても気に入って、その後36色セットも手に入れて有彩色も使うようになりました。
色は全36色と他メーカーに比べると少なめです。
ですが混色がとても簡単で、綺麗に混ざっていくのを楽しめるためこれで十分だと思います。
ここまでの3メーカー中、唯一私が全色揃えられているのもペリシアだけです。
色数が少なくても、ケースは12・24・36本セットそれぞれ全てが合皮革製で金の箔押しがされており、高級感があります。
その中に鉛筆を収めるととてもおしゃれな感じで様になります。
木軸も他のメーカーとは違い、全体を芯の色にするのではなく、後ろの方だけに色がつけられているのがなんだか格好良いです。
色見本は全36色すべて塗りましたが、鮮やかな色から少しくすんだ色まで、必要な色がバランス良く揃っている印象です。
どれも発色はとても良いです。
赤・青・黄を混ぜたとき、3メーカー中いちばん綺麗に色が混ざっていきました。
ペリシアは、その柔らかさと滑らかさで厚塗りが得意です。
雰囲気を一言で表すなら「おおらか」な色鉛筆。
くっきりとした濃い発色を見ながら、のびのびと塗り広げていく気持ちよさを感じられます。
おまけ サンフォード プリズマカラー(現:カリスマカラー)
プリズマカラーはアメリカのサンフォード製の色鉛筆です。
※現在はカリスマカラーに銘柄が変わっています。
白色しか持っていないので、簡単にまとめます。
ペリシア同様、とても軟質で滑らかな芯でベタ塗りや混色が得意な色鉛筆です。
プリズマカラーの方が若干さらさらした塗り心地ですが、どちらも素晴らしい滑らかさです。
私はアーチストやポリクロモスと併用して補助的に使用していますが、混色するととても綺麗に色が伸びていきます。
雰囲気を表せるほど使いこめてはいませんが、いつか有彩色も集めてみたいなと思っている素敵な色鉛筆です。
『スーパーリアル色鉛筆』の林亮太さんが、書籍にてカリスマカラーを紹介していますが、林さんの書籍は、写真を元にしたコントラストのはっきりしたリアルな風景画を描くのに、とても勉強になります。
様々な色鉛筆画の書籍を探してきましたが、色をしっかりと塗り込んでいて、なおかつ風景画に主な焦点を当てているものはなかなか見付けられなかったので、ありがたい書籍です。おすすめ。
その他に風景画に焦点を当てている書籍は、オガワヒロシさんの『新色鉛筆技法』などがあり、独特で美しい描写をされています。
長くなりましたが、油性色鉛筆編は以上です。
次回は水彩色鉛筆についてまとめます。
続き▼
By,みずき