ねのかみノート

色鉛筆大好きな管理人のお絵描き創作ブログです。

【おすすめ画材】大好きな色鉛筆④(水彩色鉛筆レビューと油性との比較)

こんにちは!瑞木です。

今日はおすすめの水彩色鉛筆について書いていきます。

 

前回記事▼
tsuki-mzk.hatenablog.com

 

私は普段は主に油性色鉛筆を愛用していますが、たまに気分を変えたいときは水彩色鉛筆を使っています。

油性の場合は混色や芯の柔らかさなども考慮して選びましたが、水彩は色合いの好みと、単純に「これを使ってみたい!」と思ったもので選びました。

 

 

ファーバーカステル アルブレヒト・デューラー水彩色鉛筆

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製品ページ▼

Faber-Castell - アルブレヒト・デューラー水彩色鉛筆

 

アルブレヒト・デューラーは、ドイツのファーバーカステル製の水彩色鉛筆です。

前回記事で紹介したポリクロモスの水彩版になります。

銘柄になっているデューラーはドイツのルネサンス期の画家です。

 

ファーバーカステル色鉛筆の特色である美しい色彩は、水彩色鉛筆も同様でとても綺麗です。

溶け具合は繊細で、そのまま塗ったときの鮮やかな不透明色にそのまま透明感が加わって、静かな光を感じる明るい雰囲気になります。

 

全120色なのはポリクロモスと同じで、色番号も共通です。

私の場合は油性色鉛筆と比べると使用頻度は低めですが、色の美しさの誘惑に負けて24色セットを購入しました。

先にポリクロモスを使っていてその色合いに感動していましたが、水彩色鉛筆の方も塗ってみると「ああ綺麗だなあ」としみじみ感じます。

ポリクロモスは塗り込むことで深みが出て、デューラーは溶かすことで光を取り込むようなイメージです。

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木軸を見比べると、ポリクロモスは丸く、デューラーは六角形です。

「Albrecht Dürer」のロゴの左側に絵筆のマークが付いています。

またデューラーの刻印は銀色ですが、ポリクロモスは金色で、よく見ると細かい所が違って面白いです。

 

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セットで購入すると、必要な色がまんべんなく揃っているという印象です。

水で溶いて混色するのであれば、私はこれ以上あると持て余してしまうかもしれないです。

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色見本です。右下の三角を見ると、油性色鉛筆は混色することでより色濃くなっていますが、水彩色鉛筆は水で溶くことで明るい色になっていますね。

 

次に、同メーカーで油性・水彩を販売しているので、その違いを検証してみます。

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比較用に私が好きな110番(PHTHALO BLUE)をそれぞれ塗ってみました。

上がデューラー、下がポリクロモスです。

左から「薄く塗る」「濃く塗る」「水で溶かす(上)/白を混ぜる(下)」「面塗り」をしてみました。

 

薄く塗る分にはどちらも同じくらいの塗り心地です。濃く塗るのも小さな面積なら同じくらい。

デューラーを水で溶かすと彩度が上がったような感じになり、ポリクロモスを白と混ぜると明度が上がったような感じになります。つまりデューラーは鮮やかに、ポリクロモスは明るく変化しています。

 

そのまま塗ったときの違いが顕著になるのが広い面を塗ったときで、デューラーは「ごしごし」塗る感じで少し摩擦を感じますが、ポリクロモスは「さらさら」という感じで摩擦はあまり感じません。

使っているのは表面がすべすべしたケント紙ですが、そういった用紙に塗るのが得意なのは油性色鉛筆の方です。ムラなく楽に塗り込んでいけます。

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今度は水彩用の表面に凹凸のあるホワイトワトソン紙に塗ってみます。

上がデューラー、下がポリクロモスです。

左側はそのまま濃く塗って、右側はデューラーは水で溶かし、ポリクロモスは白を混ぜています。

紙に凹凸があるので、デューラーは濃く塗るときの摩擦感がさらに強くなります。

ですが、塗りにくさを感じる程ではありませんので、濃く塗り込んでいくことは可能です。しかしポリクロモスと比べるとちょっと力が要ります。

私の体感ですが、でこぼこした紙に塗るとポリクロモスは「色鉛筆で塗っているなあ」と感じて、デューラーは「クレヨンで塗っているみたい」と感じました。

 

画像だと分かりにくいですが、濃く塗ったときはデューラーの方が色が鮮やかです。

つまりより発色が良いと感じるのはデューラーの方といえます。

水で溶くことを前提としている場合はデューラー一択ですが、そのまま塗るときは、絵を描くときに何を重視するかによって選択が変わります。

 

ポリクロモスは塗りやすく、ムラが出にくく、面塗りが綺麗に仕上がります。

デューラーは濃い発色で、より鮮やかで、薄く塗っても色がくっきりします。

もちろんポリクロモスも発色は良く、色もとても綺麗です。両者を比べた場合に水彩のほうがより彩度が上がるなという印象です。

 

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先程の面塗りしたものを、濃淡が極端に出るように加工しました。

塗りムラについては上側のデューラーの方が、ところどころ色の濃い粒が乗っている部分が多いです。下側のポリクロモスはほぼ均質ですね。

 

ですがこれは極端な加工なので、肉眼ではそこまで気にならないですし、そのままただ塗るだけで色の濃さに変化が出せるとも考えられます。

アナログで絵を描くときの強みは、この「ただ塗るだけでも微かに色が変化している」ことによって生まれる温かみだと思います。デューラーは、ポリクロモスよりもそれが顕著に表れるということですね。

 

ぱっと見たときにデューラーの方が「濃い!」と感じさせるのは、この色の濃い粒が乗っている面積が多くなるからかもしれないですね。(濃くない部分を見ると、どちらも鮮やかさは同じように見えます)

どちらもとても質の良い色鉛筆だというのは変わりません。

 

アルブレヒト・デューラー色鉛筆は、くっきりとした美しい色彩のまま繊細に水に溶けていきます。

雰囲気を一言で表すと「爽やか」な色鉛筆。

水に溶かしたとき、ぱっと鮮やかな色に変化していく様を見て、ああこんな色になるんだと感じながら、その美しい色に癒やされます。

 

ダーウェント インクテンス

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製品ページ▼(英語サイト)

https://www.derwentart.com/en/gb/4407/inktense-pencils

製品ページを見てみると、インクテンスブロックなんてものもあるんですね。

そちらは棒状の水溶性パステルです。

 

インクテンスは、イギリスのダーウェント製の水彩色鉛筆です。

 

その名の通り、水に溶かすと深い色味のインクを塗っているような雰囲気があります。

 

芯は柔らかめで、強めに紙に擦りつけると粉がもろもろと出てきます。これは水彩色鉛筆全体に言えることかもしれませんが、芯が柔らかめだとそれが顕著になるようです。

デューラーも、インクテンスよりは少ないですがけっこう粉が出ます。

線描や、通常の筆圧で塗った場合はあまり気になりません。ぐりぐりと塗りつけたときだけです。

 

全72色で、全体的に彩度が控えめでぎらぎらせず、どこか渋みのある色味をしているのが特徴です。ですが発色はくっきりとしており薄いとは感じません。

 

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私は12色セットを購入しました。ちなみにこのセットには白が入っていません。

水彩であれば紙の色で明度を表せるため、そこまで問題はないかと思います。

 

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2200(Ink Black)・1100(Deep Indigo)・1200(Sea Blue)を塗ってみました。

暗めの色はより深みを感じて、デューラーとはまた違った方向性の色の美しさを感じます。

デューラーが「鮮やか」なら、インクテンスは「落ち着いた」色合いです。

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左がインクテンス0400(Poppy Red)・0300(Tangerine)で、右がデューラー121・115です。

インクテンスは少し褪せたような雰囲気があり、自然な色味の風景画などに向いていると思います。

真っ白な紙よりも、クリーム色っぽい紙に描いたほうが更に良い雰囲気が出そうですね。

 

ちょっと特殊なのが、この色鉛筆は水に溶かしてそれが乾くと耐水性になるということです。

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試してみました。左がインクテンス1400(Apple Green)、右がデューラー110です。

色鉛筆から直接筆で色を取って塗り、乾かした後で右端の方を水筆でなぞってみました。

インクテンスの方も若干溶けたので、完全ではないかもしれませんが、デューラーの方はスルスルと溶けていったので、比較するとだいぶ耐水性が強くなるようです。

色鉛筆で直接塗ってから水で溶かし、乾いてからなぞるとインクテンスの方も色が溶けやすく感じました。濃く塗ったりして水に溶けずに残った顔料があると、乾いてからでも水でなぞれば色が溶けてしまうようです。

耐水性を生かしたいときは、しっかり水で溶かして色を伸ばしておくと上手くいくと思います。

 

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色見本です。インクテンスを水に溶かしてみて感じたのは、色があまり薄まらずにそのまま溶けるということです。

デューラーは溶かすことで鮮やかに明るくなるのに比べて、インクテンスは色の落ち着きはそのままに溶けていき、明度もそんなに上がらない感じがしました。

 

色の溶けやすさはデューラーの方が上で均質に溶けていきます。

インクテンスは、濃さを失わずに液体になっていくのか筆跡が出やすい感じがしました。筆によく水分を含ませて、何度かなぞっていけば綺麗に溶けます。

 

水彩色鉛筆としての総合的な質は価格の差もあり、高級品のデューラーの方が上かもしれませんが、インクテンスのウリはなんといっても渋くてくっきりした色です。

落ち着いていて鮮やかすぎない色味は、どこかほっとした印象を与えます。

雰囲気を一言で表すと「成熟した」色鉛筆です。

 

インクテンスは「色鉛筆」ですが「インク鉛筆」です。

独特な色合いは見ていて楽しく、そのまま塗るだけではなく水でも溶かしてみたくなる、水彩色鉛筆という特徴を存分に楽しむことができます。

 

 

水彩色鉛筆編は以上です。

次回は番外編として用紙や役立つ道具などについて書いていきます。

色鉛筆は「何に塗るか」もとても重要な要素です。

長くなりましたが、ここまで読んでいただいて色鉛筆に興味を持っていただけたら、ぜひ次回記事も読んでみてくださいね。

 

次回▼ 

tsuki-mzk.hatenablog.com

 

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